12/23/2012

病理結果 治療方針の話し合い1

術後2週間後の外来。
術前の組織針で、既にある程度の結果は知らされていたし、
それは9割方正確だと聞いていたので、たいして緊張もせず、ひとりで病院へ。

「今日はひとり?」
先生の第一声がそれだったので、過去の経験からして、
なんかマズイ結果が出たんじゃないかと、一瞬怖気づいた。

退院後初の外来なので、まずは手術のおさらい。
絵を描きながら、丁寧に説明してくれた。
そして、にっくき敵の姿を画像で確認。
我ながら、気持ち悪いその肉塊に軽い吐き気をもよおす。

ガンそのものは、明らかに周囲の肉塊とは様子が違って見えた。
事前説明されていたように、ガンの周囲を2cm程大きめに切られてた。
その肉塊のスライス画像も確認し、
説明通り、端断部分のガン取り残しは見受けられなかった。

以下が病理検査の結果。
術後の治療選択を考慮する際、
私も他ブログに記載されている、これらの数値を参考にさせてもらう事が多いので、
私の場合も記載することにする。

組織型:特殊型(粘液ガン)
腫瘍径:1.1cm
リンパ転移:0/3(3個中0)
リンパ管侵襲:0
グレード(顔つき):1
MIB-1(Ki-67)(増殖スピードの指標):19%
p53(性質の指標):±
HER2(細胞のアンテナ):
ER(女性ホルモンエストロゲン受容体):2+ 99%
PgR(女性ホルモンプロゲステロン受容体):2+ 99%

組織針の結果とほぼ一致。
総合的に、顔つきが良く、おとなしい、増殖スピードはどちらかと言えば遅め、
そして、女性ホルモンの影響を多大に受けているタイプ。

本やネットを読み漁って事前勉強してたから、
説明前に、私はホルモン療法の対象であることがすぐに分かった。

抗ガン剤やHER2陽性に効くハーセプチンという薬による治療は、
どちらも副作用が残るだけで、殆ど効かないだろうとのこと。

ホルモン療法に使用する薬や、目的、効果、副作用について説明された。
使用する薬は2種類で、
LH-RHアゴニスト製剤の注射を月1回(または3カ月1回)、2年間と、
抗エストロゲン剤の経口薬を毎日1回、5年間を併用するとのこと。

事前に調べて知っていた薬品名や副作用の話を直に聞いていると、
あー、私も遂に、その領域のお仲間になったんだなーと、なんだか感慨深くなった。
既にガン患者になってるんだけど、
度々こうして自覚させられる場面は、なんとも切ない。

そして、話は核心へ。

さあて、妊娠出産はどうするかねえ、という話。

「子供を望むなら、ホルモン療法前に妊娠出産を持ってきても良いと思うよ。」
どうやらありがたいことに、敵の足は遅くておとなしいらしく、
私にも、まだその選択の余地があるらしい。

「でも、1人子供を授かったら、2人目も、という人が多いんだよね。」

「そうですね、そうなると思います。今は分からないけど。」

「うん、でも仮に、見えないガン細胞が全身に散らばっているとすれば、
ホルモン療法を早く開始するに越したことはない。
もし再発(遠隔転移含む)した場合、治癒するのは難しい。
そして、いずれは乳ガンが原因で死んでいく、ということになるね。」

死って、ちょっとあまりにも直接的すぎ。
禁句じゃないの、先生。

「もし、ガンの状態が悪ければ、
妊娠出産を先に、なんていう悠長な事なんて言ってられませんよね?
先生もこんな風に勧めたりはしませんよね?」

「そういう事だね。だから、その選択肢はあるという事。」
とハッキリおっしゃった。

「無治療という選択肢もありますか?」

「ありますよ。ただ、再発するかしないか、本当のところ誰にも分からない。」

要するに、神のみぞ知るということか。

説明全体は、事前に情報収集してたせいか特に驚かず、
だからと言って、咄嗟に何を質問すべきか思い当たらず、かと言ってすぐに決断も出来ず。
ホルモン療法については、家族とよく話し合ってゆっくり決めていいよ、とのこと。

放射線治療は、局所再発防止効果は高いと聞いていたし、
そもそも温存のため必須と推奨されるので、断る理由は無く、
年明け早々に予約を入れた。
照射は月~金の5回通院で5週間の計25回
地味に長い。

肝心で至極真面目な話し合いは、
診察室を行き交う看護師のおばちゃん達の声に、終始掻き消されながら終了した。
正直、うるさくて気が散った。
いつもの私なら、相手が看護師だとしても、
「少し静かにしてもらえませんか?」などと言いそうなんだけど、
生意気な患者だと思われて、変にわだかまりは作りたくなかったから、
ぐっと我慢して、先生の話を聞き逃さぬよう集中した。

看護師のおばちゃん達は、こなれた感がいっぱい。
先生よりだいぶ年上の方が多そうで、先生もタジタジな感じ。
途中、先生も気にしたのか、
看護師たちとの間にカーテンを引いた。

そうして淡々と話し合いは終了に向かい、そこで先生が、
「実はね、来年から異動になって。大学病院に行くことになって。」
「えー!?本当ですか?なんてこった…。じゃあ、私も大学病院に変わるってことですか?」
「いやいや(笑) そんなことしなくていいよ。」
的外れな質問だったようだ。

でも、治療の途中で主治医が変わるのって、
患者の本意ならまだしも、こんなのって先がちょっと不安。
最初から知ってる先生に担当してもらえる安心感というのは、
メンタルが弱い私にとっては、結構大きいんだけど。

初診、手術と主治医が変わって、更にまた変わるのかー。
どこもこんな具合なのかしらん。
まあ、セカンドオピニオンの手間が省けたと思って、
色んな医者の意見が聞けるってことで、良しとするかなー。
どうせ、マレーシアに戻ったら変わるわけだし。
しかも外国人だし。
…ということで、一時は落胆したものの、すぐに回復。

じゃあ、傷の確認をしましょうね、ということでベッドに横になると、
なんとまあ、脇の傷口が若干開いていた。
浸出液が少し漏れ出ていて、防水テープの中に溜まっていたから見えなかった。
そういえば、なんか痛かったような。

縫ったほうが傷が綺麗になるということで、
痛み止めの注射をして、ササッと2、3針手早く縫われた。

これは抜糸が必要ということで来週も外来予約。
そして、忘れていた脳の変な影について、
念のため、近い内に脳のMRIを取ったほうが良いとの事で、紹介状が用意された。
MRIは嫌いだ。

そして最後に、
「ということで、良い結果でした。」と笑顔の先生。
「良い結果なんですか?」
「勿論、ガンじゃないのが良いんだけどね。悪い結果じゃなかったってこと。」

良かった、と思っていいのかな。

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