10月29日
結果を聞くだけだし、と軽く考えてひとりで病院に行く。
前夜は多少不安になったけど、
検査結果が出るまでの待機時間が短いこともあってか、
そこまで緊張しなかった。
でも、予約の16時半を1時間過ぎても、なかなかお呼びが掛からない。
だんだん、悪い予感がしてくる。
だいたい16時半って最後の患者。
診察が押してたみたいだけど、待合室は私ひとりだけになった。
それは、例えば私が泣いてしまった場合、
誰にも見られないようにする病院側の配慮とか?
冷や汗が出てきて、体温が低下していくのが自分で分かった。
かなり緊張してる。
やっとお呼びが掛かると、先生は、
「今日はひとりで来たの?」と。
ひとりで来たら、何かまずいことでもあるんだろうか。
先生は優しい笑顔で、
「結果は悪性だったけど、悪いガンではないわよ。」
緊張しすぎて、肝心なところを完全に聞き間違えた私は、
「え?ガンじゃなかった?良かったー本当に良かった。安心したー。」
と言った。
でもすぐに違和感に気付き、
「え?今、ガンって言いましたか?」
「そうよ。ガンだったの。私も驚いたけれど。」
一瞬何が起こったか分からなかった。
何ですか?今の。
でも、今度ははっきり「yes, it's a cancer.」と聞こえた。
これが俗に言う、告知という場面か。
先生はしきりに、このガンはガンの中でもタチが良いのよ、
と繰り返し言ってた気がする。
先生が絵を描いて、分かり易いように説明してくれる。
今後の治療方法の説明がなされ、うなずきながらそれを聞いた気がする。
メモを取ろうと、手元に用意してたノートには、
昨晩作った、良性だった場合の質問リストが並んでいた。
完全に思考回路が停止してた。
相方には先生から説明をしてくれるそうで、明日も病院に行くことになった。
告知された患者の混乱を予想して、そうしたガイドラインでもあるんだろう。
ありがたいことだ。
診察室を出て、ナースに「大丈夫ですか?」と声を掛けられ、
「全然大丈夫じゃない」と答えた。
迎えに来てくれた相方に電話で報告すると、絶句。
帰路の車内で私は号泣した。
私は乳ガンになった。
私のガンは、乳ガンの中でも稀な、「粘液ガン」というものらしい。
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